僕の知り合いには、なんでも箸で喰うやつがいる。箸で喰うのが難しい日本食の代表といえばカレー（日本食とあえて規定するぞ！）であると思うが、奴はそれすら箸で喰うのだ。何かこだわりがあるのかと思えばなんとなくだという。なんとなくで箸で喰うってないわー。
コンビニにいって「和パスタ」なるものを買う。ナチュラルに箸がついてくる。店員が僕をみて「フォークがよろしかったですか？」と聞く。ふと考える。カレーじゃあるまいし、焼きそばみたいなものだろ。
というわけで、箸しかもらわずに持ち帰る。まあ「和パスタ」だし箸でもいいか…
「んむむむむ…」
パスタは滑るのである。またフォークで捕まえる量と箸で捕まえる量は違うのである。うん、なんだかそばを食べている気分になってきたぞ。つまんで持ち上げてすすらざるをえない。ずるずる。パスタを喰う時の擬音ではない。心なしか、味も日本食な感じである（味付けが醤油なんだから当たり前だが）。
なんでも箸で喰う奴の気持ちがちょびっとだけわかった。でもって、喰い物には喰うための適切な得物というものがあることもよくわかった。XX料理専門店以外ではすべての料理が日本テイストを身にまとうのは箸で喰うことにアダプトした結果である。定食屋ではどんなに本格的であってもコロッケはフランス風クロケットになれないのは、箸のせいである。箸は偉大だ。
中華料理や韓国料理？ほら、箸の長さとか材質とか違うじゃん…
