novtanの日常

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カーズ様あらわる! 「遠すぎた星~老人と宇宙2」 ジョン・スコルジー

生まれながらにして精神は成人である、という人間は存在し得るのであろうか。

遠すぎた星 老人と宇宙2 (ハヤカワ文庫SF)

遠すぎた星 老人と宇宙2 (ハヤカワ文庫SF)


イーガンが「ディアスポラ」で知性体の誕生を描いた話にも近いのかもしれないけれども、こちらはあくまで人間そのもの。果たして人工的に作られた肉体が活動すれば魂は生まれるのか。そういった深遠な話は前作の時点ですでにすっ飛ばされていますw

というわけで、第二弾。前作を読んでいない人はお帰りください。

前作は主人公のジョンが老人しか志願できない軍に入って若い体を手に入れたと思ったら亡き妻の肉体を持つ特殊部隊のクローン人間ジェーンと出会っていい仲になるという痛快なご都合主義が繰り広げられたわけですが(けなしてないよ)、今回はそのジェーンが主人公で特殊部隊の活躍が描かれます。

彼らは生まれながらにして新しい人間のギミックであるブレインパルを持っているため、口に出して会話をあまりしないとかまあそういうレベルは想像が及ぶわけですが、今回登場したのはカーズ様…じゃなかった宇宙で生身で生き抜くことに適応した改造人間(岩みたいなのw)です。あーこれはあかんやつ…と思いきや本人はすっかり適応していて楽しそうというまあなんだかノーテンキな空気が漂うこの世界ならではですね。

で、そんな彼らの活躍によってコロニー連合は守られた!終わり!

なんか内容に触れるとネタバレになっちゃいそうなんですよね…いやこれではいかんな。

今回の話のキモは「裏切り者を探せ」なんですが、その裏切り者が「何故か」残していた精神の記録を元に新しいクローン人間にその魂を宿らせる、という荒業を使って彼が何故裏切ったのかを調べようというもの。そして出来上がったジェレド・ディラックくんの人生は如何に…

このディラックくんが大変いじらしいわけですな。裏切り者の魂を持っているためいつか裏切られるのではないかというみんなの冷たい目線にさらされながらも特殊部隊の一員として頑張り、そしてついに成し遂げたのは…

相変わらずユーモアを忘れない筆致で読みやすいんだけど、ちょっと今回は内容が重たい部分もあってなかなか苦労しているみたいですね。でもクライマックスは次の巻。さくっと楽しんじゃいましょう。