novtanの日常

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がん患者の身内から見たQOLについて

去年だいぶいろいろなところで議論になっていた過剰診断(主にガン)の話ですが、実のところ、全く他人事ではなかった(前のエントリ参照)ために、トンチンカンなことを言う輩に対して静かに怒りを燃やしていたのではありました。

さて、母がかかったガンは

  • かなり珍しく治療法が確立されていない
  • 見つかった時点での死亡率激高
  • 通常の検診ではほぼ見つからない

というものでした。さて、この手のガンのQoLを上げるためにはどうすれば良いんでしょうかね。検診をもっと精緻にやる?多分そうではなかろうというのが我が家の結論ではあります。つまり、もっと早くに見つかっていたら死ぬまでの期間はもっと長かったかもしれない。けれども、効果の分からない強い抗癌剤(ちなみに、今回は結果的に確実に進行を止めていましたが、回数制限があるので利用をやめた途端進行しましたね)で味覚に障害がでる副作用があったので食い道楽(一般的な意味ではなく、食べるのが何より好き程度ですが)な我が母にとって長期間の闘病は死ぬまでの期間が伸びたところで生きる意味をあまり持たなかったのではないかと思ったりもします。病気が発覚する(=その時からもうあまり食べれなくなっていた)直前の期間まで好き放題食べてきた時間が大事だったのではと。とは言え、そうなる前に心残りなく食べるという期間が取れなかったという悔いはありますね。
治療しても生存率が変わらないものに対してQoLを下げる治療を無理に行うことは難しい決断です。QoLのことを真面目に考えるのであれば「介入せざるを得なくなることによるQoLの低下」は大きな関心ごとのはずですが、あるときは寿命、あるときはQoLで二枚舌を使い分けて過剰診断の害を否定するような人たちの目的は謎でしかないんですよね。闘病期間が長ければ長いほどインチキ両方に縋る可能性も高まります(本人が否定しても家族が諦めきれない場合とか)。比較的冷静に判断を行った我が家ですら、あと2年余命があったら誘惑に耐えられなかったかもしれない。

割り切りが難しいからこそ、割り切らざるを得ない状況で発覚したのが良かったのかもしれない、と思っています。