ロシアで非合法化されたりMt.Goxがまともに機能しなくなったりしている昨今ですが、別の取引所では攻撃にさらされて機能していない状況らしい
ビットコイン取引所のビットスタンプ、払い戻し停止 - Bloomberg
ビットコイン自体の信頼性というのは大石さんが再三述べているので今更ですけど、仕組みとしての信頼性というのと現実に創出される「（金融用語でいうところの）信用」は当然イコールではないわけで、これが国家の裏付けがないバーチャル通貨の弱点ではあります。ビットコインがビットコインのまま流通し、使用できるところはあるにはあるんだけど、現時点ではドルや円に換金できないと最終的には価値を保つことが出来ない状態です。
希少性コントロールっていう点でビットコインはダイアモンド的な価値を持っているといえるかもしれませんけど、それって火事になったら炭の塊になるって点でもとても似ているように思えます。
ビットコインが「貨幣」になるためには信用をいかにして付与するかがもっとも重要で、それが出来ないと数多の投機的金融商品のカテゴリーを超えることは難しいと思うんですよね。仕組みの信頼性がいくらあってもここをクリアしないとどうしようもない。そういう点で一番大事なのは今問題になっている他の貨幣への交換性ではなく、決済手段としての広がりと安定なんじゃないかと思います。ただ、交換性が重要ではないわけではなく、少なくとも「ドル換算していくら」という基準がないと使う方が価値基準を判断できないことになってしまう（モノの価格が高いか安いかわからなくなる）ので意味無いでしょう。今みたいな価格の変動が激しい状態は少なくとも信用にとってはマイナスです。決済手段としてみなすには流動性が低すぎるし。
単なる資金決済手段であれば必要のない貨幣としての機能を持っているのがビットコインの利点でもあり、（既存の秩序に対する）脅威でもあり、弱点です。「自由を実現するための手段」というイデオロギーまで付随しちゃったらもうね、というわけでビットコインはそのテクノロジーが実現していることによって殺されてしまうのかもしれませんね。
