novtanの日常

ネタです。ネタなんです。マジレスする人は撲滅すべき敵です。だからネタだってば!

老人?どこに老人がいるのだ? 「老人と宇宙」 ジョン・スコルジー

いまさらですね。ネタバレ有りです。

老人と宇宙(そら) (ハヤカワ文庫SF)

老人と宇宙(そら) (ハヤカワ文庫SF)

売れてる本をすぐに読まない症候群にかかっているのでしかたがないのです。
思い立って3部作を入手し日曜日ずっと読んでました。全部読みました。あっという間。

21世紀の「宇宙の戦士」と言われるのも納得。もちろん、そこに描かれる世界のイメージはより進歩しているけれども、それは我々が今持つテクノロジーがあるからであって、宇宙の戦士が劣っているわけではありませんけど。

物語の世界では75歳になると二度と地球に戻れないことと引き換えに兵役につくことができます。何を言っているかわからねーと思うが…いや察しが良ければわかると思いますが、つまり、老人が兵士になるということはなんだかわからないけど多分若返る処置が行われることになると想定されますよね。
兵士を募集しているのは「コロニー連合」。地球に住んでいる人には一切情報が降りてこないけれども、宇宙で植民地を広げていることと多の種族と存亡を賭けた戦いをしているということだけは知っている。つまり、兵士になるのと引き換えに若い体を手に入れることができそうだ、ということで75歳になると多くが兵士に志願するということね。なんとも人間というのは…

若い肉体を手に入れた老人たち(ちなみに、75歳なので宇宙に出て検診を受ける前にお陀仏しちゃう人たちも結構いますw)はまあ元老人の若い男女が揃ったら倫理もクソもないよねーな行動に出てしまうというところで、ああ、老人はいないんだ…と思ってしまうわけですね。仮に人間500年だったら75歳ってこんなかんじなんだろうかーみたいな。

んでまあ、血も涙も(文字通り)ないような異星人と戦うためにハートマン軍曹が優しく見えるような鬼教官にクソクソ罵られながら訓練に励むわけですが…
もう肉体若いってだけじゃなくて超人なんですよ超人。ハルク的な(主に色的な意味で)。

でもね、戦争に出るとクソみたいな理由であっさり死んでいくわけですよ。宇宙オソロシス。

というわけで、本書は老人を半ば騙して志願させて殺していくという恐ろしい組織「コロニー連合」でコロニー防衛隊に所属する年食った若者の物語です。

コロニー連合がまた秘密だらけで怪しさ満点で(それは巻を追うごとに理由が明らかになっていくものですが)、主人公はどうも抜群に機転が利いて…多少ご都合主義が目立ちますけどまあご愛嬌。

改造人間の持つギミック(血を置き換えるスマートブラッドとか脳内コンピューター、ブレインパルとか)もありそうな感じだし、志願したけど75歳まで生きられなかった人のDNAを使って作られた新人類の描写と言い、実に王道スペオペ的なワクワク感がありますね。

さて、この1巻では主人公ジョンと、その妻のDNAから作られたと思しき特殊部隊の士官、ジェーンの出会いと共闘を通じて陰謀渦巻く星間戦争の世界がいきいきと描かれます。人類よりテクノロジーが遅れていたはずのララエィ族が何故か使用するオーバーテクノロジーの謎を問いてジョンは人類の救世主になれるのか(若干脚色がありますw)

ユーモアあふれる筆致もあって大変読みやすい。これは現代のSF入門編にぴったりなんじゃなかろうか。