novtanの日常

ネタです。ネタなんです。マジレスする人は撲滅すべき敵です。だからネタだってば!

「一貫性絶対確保文化圏」と「後で訂正文化圏」の衝突について

なんかタイトルだけ見たら思想の話みたいに見えますが、ITです。

というか、愚痴です。

銀行の特に勘定取引寄りの仕事をしていると、データの一貫性すなわちお金の出し入れの整合性について相当センシティブになるわけです。およそ、決済系のシステムの中で一番ヤバイ系は銀行口座の元帳の読み書きの部分なわけですね。なぜなら、一度移動した金について「訂正する」のは結構な困難を伴うからですね。システム上とはいえ、お金の所有者が移動してしまうわけなので。

ましてや、お金が行方不明になったり謎の増え方をしてしまってはまずいわけですね。

一方で、銀行以外の決済は意外とおおらかな部分があります。なぜなら現金が直接的に減らないことが多いから。クレジットカードなんかが典型で、問題が発生しても月締めまでになんとかすればいいし、なんだったら翌月に回しても良い(収益の観点からは全くよくないけど顧客に負担を強いるよりはマシ)。チャージ系の支払いについても最悪チャージした金額以上は被害が出ないし、保障もなんとかなるでしょう。

で、最近のなんとかPay絡みでこの文化圏が悪魔合体しているんですよね。

口座登録するとリアル口振インタフェース経由でオートチャージ!みたいな。Suicaとかのオートチャージはクレカなんで事故ってもいきなり現金なくなるなんてことないですけど、新型決済系で銀行直結はアカン…

めったに事故らないから事故った後になんとか対処すれば良い、という考え方は「その程度のサービスレベルである」というコンセンサスのもとでは有効です。だから、FinTechベンチャーが持つシステムは往々にしてその思想で設計されていることが多いように見えます。その事自体は全然悪くないんだけど、とにかく銀行口座に直結しがちなここ最近の案件においてはその設計はクリティカルな問題を孕んでいることも多いです。最低限、想定外なエラーが発生した場合の二重取引の排除や同時に残高にアクセスした場合の排他制御くらいはちゃんとやってほしいものですが…(なぜこんなことを言うのかというと以下略。

で、何を起きたらどのくらいの対処をしなければならないか、というのは金融系のシステムやっていた人たちの重要なノウハウであり、また、銀行システムを担っている人たち(主に銀行のシステム子会社)の守るべき線なんですが、まあFinTech関連の案件といえば銀行の企画部直案件だったりして、この程度の金額でこれだけできますよ、という売り込みに対して異例系どこまでカバーしているかを確認するなんて発想は一切ないので蓋を開けてみたら双方地獄を見るということになったりしますね。

とにかく問題が起きても適切な保障をユーザーにすることで割り切る、ということもできなくはない(とはいえ、不正取引を許さない的な規制については欧米の基準も含め、かなり厳しく見られる)のですが、信用商売であるところの銀行としては最悪潰れればいいベンチャーのサービスとは違うわけですよ。

雨後の筍Payたちは早急に滅びてほしいものです。