novtanの日常

ネタです。ネタなんです。マジレスする人は撲滅すべき敵です。だからネタだってば!

悪意、害意、殺意

昔、FBI心理分析捜査官みたいな本が流行ってシリアルキラーブームがやってきたことがあった。もちろん、人を殺すブームが起きたわけではないw

往々にして我々は「知ることによる安心」を得ようとすることがある。あるいは、無視することによる安心か。ないものは、ないのだ。正体がわからないものは怖いから、見ないことにすれば良い。

でも、怖いものを「見てしまった」とき、知っているという備えがないというのは非常に恐ろしいことだ。放射能、公害、過剰診断…

無知は恐怖から逃れられるがリスクを増大させる。

今日も今日とて、凶悪な事件が発生する。犯人は何を考えているんだ。恨みがあったのか、衝動的なのか、どういう属性なのか。みんなは急にそれを知ろうとする。恐怖と、幾ばくかの野次馬精神に則って。知らないことは怖いから、理由を作りたがるし、その理由が真実かどうかに関わらず、もっともらしい理由について、それが属するものを恐怖の的として設定する。

でも、実際のところ、凶悪な犯罪を起こした人間のことなんて我々はなかなか理解できるものではない。あるいは、別の理解をしてしまうものだよ。本格推理小説が廃れ、社会派推理小説全盛の時代、僕らはそこから世の中に対する憤懣やるかたない人間の心を読み取ったわけだが、そういった小説が人間の心の底を深く描いていたかというと、そうではないんだと思う。そこには、我々の社会に対する思いを代弁する、架空の人格があるに過ぎず、実際に行われる犯罪はもっと単純な動機であったりして、小説よりももっと人間や人生の恐ろしく深く、空虚なものを我々に見せているんだよ。でも、それは小説のように理解できるものでは殆どの場合、ない。

京アニ放火の原因を、オタク文化の幼児化と悪意の受け入れにある、とする文章(左記はちょっと雑に書いたが)を読んだんだけど、まずまず、何を言っているのかわからなかった。怖い。怖いことが犯罪の構成要素なのだとすると、彼のものこそ、と思わなくもないが。

理由に関わらず、世の中には理解しがたいことがたくさんある。それだけのことだと思っていたほうが良いだろう。

が、問題はそれだけではない。その、わからないことを書いている人の言にも重要なところはあって、今の世の中が悪意を増幅し本人に届けやすい仕組みになっているのは確かだ。無論、今回の犯罪の原因がそれだということではない。悪意が害意になり、殺意にまでなる、というのは理屈で説明できるものではなく、人間の不思議と言うしかない(昭和並みの感想)。なんの不満がない境遇にいたとしても「何かが気に入らない」というだけで凶悪な犯罪に手を染めることだって発生しうるのだからね。

ともあれ、社会的な悪意トリガー増幅装置があるとしたら、それは社会において悪意が殺意にまで育つことを容易にしている。トリガーを引くに至る機会を減らすことくらい、なんとかならないかな、とは考える。