novtanの日常

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吹奏楽とユーフォニウムという仕事のない楽器について

響け!ユーフォニアムとかいうマンガ・アニメのおかげで中高生の吹奏楽人気が少し盛り返したりしているそうで、重畳であります。なお、SPEEDのドラマ(もう覚えている人いませんよね…)とか、スウィングガールズとかでも人口が増えた一方で、のだめのときはオケに人を取られましたね(うちの高校は吹奏楽部と管弦楽部が両方あるという人的リソースの無駄遣い)。
さて、そのユーフォニウムなんですが、その先やっていくのが難しい楽器でもあります。
なんてことをこれを見て思った。

togetter.com

正直なところ、吹奏楽という非常に中途半端で芸術性を追求しづらいフォーマットにおいて、高校の吹奏楽部がプロへの道筋、というわけでは全然ないんですよ。逆に言うと、別に高校の吹奏楽部に入ってようが何しようが、適切な人に習って適切な練習を積んで、それなりの才能があれば、まず音大にはいけます。それなりの才能が、というのがハードルな。強豪校で壊されるのはどちらかというと音楽性の事が多くて、吹奏楽部で必要な吹き方というのはその先のプロの世界でやっていくためにはあまりに本質がかけ離れている、ということが多いと感じています。
僕が高校の頃は、文化祭のために部活をやっていたようなもので、コンクールも出ないし(だって2曲だけひと夏かけるとかつまらないじゃんとか)、純粋に演奏することを楽しんでいたな。しかし、別にそれでもうまくなるわけではないけど。
ところで、この演奏することの楽しみ、というのが非常に厄介で、アマチュアの演奏することの楽しみは単純にそれだけだとおおよそ音楽性を阻害します。というのは、特に高校生みたいに時間が有り余っている若者が部活に費やす時間ってのはそれはもう大変なもので、非効率な吹き方や練習方法を時間がカバーしてしまうんですな。結果としての成功体験は「頑張ればできる」になるので、頑張らないとできない、に容易に転化しがちで、続けられなくなるんですよね。このパターン、木管楽器に多いのではないかな。楽しくないならやらないんですよ。
もうちょっと厄介なのが、吹奏楽って教育的な曲が多いので、基本的にはすべての楽器がそれなりに活躍する曲になりがちなんですが、これって音楽的な本質ではまったくない、ので、ちょっといい曲をやろうとすると「私その曲暇だからいやー」みたいな人が出てくる。そりゃそうだよね、部活じゃなくてお金払って市民団体に所属した挙げ句やることないみたいになるとね。プロだと逆で、「これで同じギャラでございます」になる。
そういう、純粋に音楽をやっている意識がない部活がプロへの道筋になるわけはないです。音楽でプロを目指すためには何より自分がプロでやっていきたいという明確な意思が必要なわけで、別に全国大会で金賞をとったからと言ってめったに偉い人の目にとまるものではありません(し、目にとまるような人は大抵お師匠がいて音大を目指しているでしょ)。

おっと、本題に全く入っていない。

そんな吹奏楽の楽器の中でも、いわゆる「プロの奏者」の需要があまりにないのがそのユーフォニウムという楽器なんですよね。そもそも吹奏楽で使う楽器の中でオーケストラの一員に原則はなれない唯一の楽器です(ごくわずか使われますが、サックスに比べても遥かに少ない)。ということは、クラシックの世界での就職口が吹奏楽関連しかないということになりますね。サックスならジャズ方面の方が強いですが、ユーフォはそっちも行けない。吹奏楽のプロ、はあまりいないので、結局の所、自衛隊、消防隊等の公的団体(これがまた吹奏楽しかやってない頭で筆記に落ちる人が結構いるという問題)か、音大での音楽指導者、としてくらいしか食い扶持がないわけです(イギリスとかではもうちょっとマシですが)。音大まではちゃんとキャリアがあるのがタチが悪いですね。

じゃあそんな楽器教育に使うなよ、という気もしますが、吹奏楽というどうしようもないフォーマットからユーフォ抜いてしまうとただでさえまとまらない音色が更にまとまらない気もします。プロになるならトロンボーンに転向、というのが一番良いのかもしれませんが。

蛇足ですが、吹奏楽を続けよう、という気になってくれる奇特な人は、ぜひ一度は外のジャンルを経験してほしいですね。例えば、吹奏楽とオーケストラ等のクラシックとジャズを比べたときに、奏法が近いのは吹奏楽とオケではなくて、オケとジャズだよ、なんてことよくあることです。そのくらい吹奏楽だけやっている人は音楽や奏法が吹奏楽流に閉じてしまっていることが多いと感じていますね。