一昔前はこういうのはドラマが担っていて、そこにスポンサーとしてそのシナリオを広告としたい会社がいるというのが一般的だったんだろうけど、そういうことが最近は好まれなくなった結果としてダイレクトな広告づくりの場がそれを担うという間違った選択をしやすくなったんじゃなかろうか。
でも、今やインターネットってテレビよりも「みんなの目に触れる」メディアで、その倫理はテレビよりもはるかに厳しい。10年…いや5年前ならあるいは通用したのかもしれない。今やインターネットは地雷の宝庫で、たいていの場合見たい(すなわち見せたい)層しか見ていないドラマとは違うんだよ。
確実に表現は気楽じゃなくなってるけど、それはどこでも誰でも自由にと言うのが文脈を失わせているから。今回のCMでなされた表現そのものが悪いとは僕は思っていない。
このインターネットの特性は今となってはガンになっているといってもいいくらいだと僕は思っているけど、それは「バカと暇人のもの」と言われた世界が実は高度な文脈把握能力に支えられてたという現実に気づかないまま、もはや文脈など読まない人々に支えられつつあるインフラにかつては通用した文脈依存の物語を無加工で放り投げる輩がいるからだ。
もう、正しいことが大事な時代は終わり、正しく見えることが大事になっている。そういう世界にはうんざりするので、正しく見えるだけの何かが全力で批判される界隈は楽しいし、正しいことの裏面を見ることも楽しい。
サブカルがサブたる所以は裏面にいるからだと思ったりもするんだけど、そうあう意味でも裏裏しいインターネットの住人でこれからもあり続けたいな。
