novtanの日常

ネタです。ネタなんです。マジレスする人は撲滅すべき敵です。だからネタだってば!

()の正体について

この手の話題はいつもそうなんだけど、まあまあ同時多発的にいろんな意味が使われ始めたものが少しずつ広まっていくと、違う用途の文化圏が衝突して噛み合わなくなりつつも次第に特定の意味に収斂していき、たまに一方の原義に近い使い方をする人が話が噛み合わなくて困る、という歴史をたどることが多いですよね。
一昔前には(ぉと(wについてもだいぶ議論が交わされたと思います。この手の議論、決めつけで何が正しいとか言い始めると大変不毛なのですが、いろんな成り立ちがあるよね、ということを認めながら議論していくと文化の特徴が垣間見えて面白い話にはなります。正しさではなく楽しさで知識を残したい、いつもそう思ってはいます(といいつつ、正しくないことは撲滅したい。両立しづらいけど、正しさを押し付けることと正しくなさをやっつけることってのは本質的には違う話なので、エビデンスがたくさんあるものについては両立するんですがね)。

こういう、ネットミーム的なものは、みんな「インターネット・ミーム」だと思っているフシがありますが、そもそもインターネット全史から存在するもので、まあインターネットと言ってもemail、ネットニュースだったり(つまり、WWWではない)、パソコン通信だったりする部分で行われてきたところがスタートですよね。特にパソコン通信においては文字数を減らすということがそこそこ重要な局面があったので…

というネット古参ムーブをかましたところで。

そういうことの起こりから考えると、まあこの省略のお作法みたいなところから生まれる言葉ってのはフランス語で8文字の単語が英語では4文字になっちゃう、語源がわからないものが合流しちゃう、というようなネットミーム関係ないところでも普通に起きている話ではあります。

(以下略→(略→(ry

なんかは非常にわかりやすいし紛れがない特徴を持っていますよね。(ryが途中まで入力して終わった状態というのはローマ字入力している日本人には一目瞭然なわけですから。
ちょっと毛色が違うけど「くぁwせdrftgyふじこlp」なんてのもわかりやすい。

(w

が難しかったのは元のネタ(古いパソコン通信仕草)にセルフツッコミであるところの「(おいおい/(ぉぃ/(ぉ/(を」の文化があり、そこから派生したものと、「(笑い/(笑)/(藁」から派生したものがあったからですよね。ですよねとか言っちゃってるけど、多分まだ原始的用法がいっぱいある可能性が高い。

じゃあ、()ってなんなの…ってなるとこれもう原型とどめてないので当事者の証言を集めるしかないんですよね。一応、本件トリガーの話題の中では(笑)の省略形、という意見がかなり多かったですね。

でもそれって違和感ありませんか?流石にこれを(笑)として認識してくれ、というのはちょっと無理があるようにも思えます。もう少し、「空である」ことに意味を込めて使われ始めた、という風に考えたほうが自然ではないか。もちろん、(笑)の省略形である、という事実に異を唱えるわけではありませんが、それってよーわからず使われ始めたものが収斂した結果なんじゃないかなって直感的には思います。こういうのを使い始める人が見た目のニュアンスに無頓着であるとはちょっと考えづらい。引き算で何かを表現するネット仕草の延長にある語尾と考えると、一つの起源はそれなんじゃないか、そう思うわけです。(このことは、他の起源を否定しているわけではありません。再三言うように、同時多発的に使われ始めるようなものなので、本当に最初から(笑)の省略形である、というのも当然ありえる話です)

少なくとも、僕の観測している界隈でこの()が使われ始めたとき、そこには「内容/感情/受容する気/がないというニュアンス」が込められていたように思います。ブコメもしましたが、個人的には(棒)が表しているような、「ソウナンデスカーヨカッタデスネー」的なニュアンスですね。こういう使い方であれば「空である」ことに相応の意味が出てきます。
でもこれって相当ネット強者(褒めてない)でないとそういう意味を取ることは難しいというか、その手のネットスラングの集大成としての省略形である、なんてわかんないですよね。だから、もっともポピュラーであるカッコ付表現である「(笑」の省略形として収斂していくこともまた自然なことではあります。

このような、「意味がわからないけど流行っているから使ってみる」ことで言葉の原義が次第に失われていくような事例は省略形や語尾に限らずネットに溢れていますよね。

なので単一の意味しか持たないとして、その意味を他人に押し付けるのって中々難しいことではありますし、それこそ辞書見たらわかりますよね。簡単な単語ほど、多義的に使われている。

一方で本当の専門用語を雑に扱う、ということが起きるのもネットの良くないところです。日常会話と専門用語、ちゃんと分けて考えましょうね。