novtanの日常

ネタです。ネタなんです。マジレスする人は撲滅すべき敵です。だからネタだってば!

一括契約でアジャイルなんてとんでもない?

takigawa401.hatenablog.com

この話のキモは「請負で」じゃなくて「一括で」ということだと思うのだけど、法的な請負契約のことを一括請負と言ったり単に請負と言ったりするだけで区別はないと思うんだけど、客のニュアンスとしては「完成まで全部1つの契約で」ってことだと思うんだよね。

そういう意味では、アジャイルを請負でやる、というだけであればどういう単位で契約するか、何を成果物に契約するか、細切れになって手続きの負荷は妥当な範囲か、あたりの問題をクリアできれば不可能ではないんだけどね。

ただ、本質的に請負とアジャイルというのは親和性がない。なぜなら、請負契約が責任を持つのはアウトプットだけなんだから、やり方に顧客が口をはさむなんてとんでもないわけです。当然途中で成果物の範囲が変わることもありえない。なので、1~2週間毎に毎回成果物を明確にして契約を取り交わす、なんてのが現実ですよ非現実だけど。

元記事にも書かれていることだけど、アジャイルってのはシステム開発における銀の弾丸では全然ない。なんだけど、コンサル野郎が妙に入れ知恵して客にアジャイルを進める。これ、コンサルトしては背任に近いレベルの提案じゃねーのって思ったりもする。で、「アジャイルでやりたいんだけどな。もちろん契約は従来通り一括請負で」みたいな「騙されててかわいそうな客」が発生するわけですね。ここポイントで、顧客側にも騙されてしまう動機がある。システム屋はとにかく融通が効かず、コストも高い。まあそういうものだとみなされているわけです。なので融通がきいてコストも安くなるかもしれない、という言葉は検討しないで捨てることは(会社員としては)できないわけです。やらないにしてもなぜアジャイルじゃダメなのかを上に説明しないとそもそもコンサルを雇っている意味がない。いや意味が無いんだけどそういうクソコンサル雇うなら。

もっとも、会社にとってアジャイルでやること自体は当然ながら悪いことではないんです。スキルと覚悟(リスク)をきっちりわかって正しくやるならね。

いつも高い高いと思っているシステム屋がなぜ高いか。それはリスクをそこに転嫁しているからだ、ということに気づかないといけません。
システム屋側にも事情があって、そりゃエース級集めればもうちょっと柔軟にスケジュールも短くできるけどそれだと会社の事業が回らないじゃんというまあ単にデリバリーの人材不足(会社単体じゃなくて業界のね)の問題があるわけです。業界の単価が上がらないのは逆説的な話だけど人が足りないからなんですよ。普通は人足りないと単価上がるんだけどね。

まあ仮に、アジャイルでやってうまく行った(これはアジャイルが得意な会社=ハイスキル技術者の割合が多いベンチャー的な会社=大規模はできないし、なんだったら自社サービス立ち上げるまでのつなぎでこういう案件受注している会社を使っている可能性がそれなりにある)として、次に起きる問題は「じゃあ次の巨大案件もアジャイルで」みたいな発想が出てくることなんだよね。

これはアジャイルに限った話ではない。某どっかの巨大案件とか、せいぜい3桁人月のシステム開発にしか理想的な使用方法が適用できそうにないツールを全面的に適用して全く役に立たないのに手間だけ増えて4桁人月は犠牲にしたんじゃないかとかそういう話もたくさんある。

正しいアジャイルが浸透してくれるのは、そういう巨大案件を目の当たりにしてきた僕としても良いことだと思う。アジャイルでシステム開発の本質をユーザーが理解してくれれば、巨大案件が抱えている矛盾点(これ、文字通り矛盾を戦わせていることが問題なんだよね)も理解してくれることだろう。アジャイルという「何が問題だったかが見えやすく、反省しやすい」体験現場が「システム開発にとって本当にダメなこと」をお客さんに浸透させてくれるかもしれない。そこまでは期待できないけど。

そういう世界にもしなっていたのであれば、アジャイルで一括契約というあり得なさそうな話にも何がしかの解決策が見出されているのではないか、と思ったりもする。