novtanの日常

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Fintechアプリは「手数料の低減を実現」みたいなことはいうべきではない

楠さんがこういうことを言っていまして

うん、そういう類のことなんだよね。
ただ、これまで話をしてきたFintech関連の人たちはAPI連携の話をするとまあまあ「え?手数料?タダで?」みたいなことを言うんですよね。そりゃあね、既存の銀行やカード決済との差別化を図るという上では手数料の低減が必要ってのはわかる。で、この人達がそういうものを推進しようとするから否応なしに金融機関が巻き込まれる(口座が流出するの嫌なので)。で、事故が起きる。

つまりね、Fintech系のサービスの「売り」って本来は利便性なんだと思うんだけど、その流れの中で客の気を引くために「安い」を全面に出しちゃっているわけですね。結果としていろいろなものに無理が来ている。本来であれば、利便性と引き換えに相応の金を払え、というのが商売としては正しいはずなんだけど、まあそれはそのサービスだけで収益性を出そうとしている場合であって、その他のサービスも含めた金融エコシステム全体で稼ごう、そのためには入口になるアプリのところでは金を取らない、みたいな戦略を取りがちで、その金を取らないという戦略の中で低減した分の手数料をFintech企業自身で負担するということが事業性の評価の問題で難しい、というのもある(そもそも入り口なのでそれ自体で収益性を期待できないとしても、費用を最小化したがる)んでしょうけどね。

そうすると、このKYC課金みたいなのも業界的には現実的なのかな…ってなるかもしれないですよね。

でも本当はベンチャーが一山当てるみたいなのをFintechアプリにおいてはやるべきではなくて、ちゃんと手元資金があって、ユーザーファースト(これは安いという意味ではなくてね)の意識でサービスが提供できる事業者がやるべきなんだよ、と、ずっと考えてはいます。それが正しいかは別として、どちらかというと金融機関寄りの仕事をしている立場からすると、ブラックバス放流くらいの乱暴さは感じてこの3年位を過ごしていたんですよね。

大事なのは、適正なサービスには適正な費用が伴う、ということで、これはエンドユーザーの人たちにも考えてほしいんですけど、自分のお金を預ける(動かしてもらう)相手に対して、「安く」ということがそんなに重要ですか、という話なんですよ。言い方を変えると、ユーザーの「安くしろ」の圧力と、ベンチャーの一山当てたいが悪魔合体すると容易にこういう事故は起こる。それを防ぐために金融庁やらが規制をしていることすら、既得権益だと叫ばれ緩められていく、というのは良くないことですよね(実際には今の所そういう理由が中心で緩んでいるわけではないけど、トリガーにはなっているだろうね)。

特に日本においては、「サービスはタダ」という意識がちょいちょい問題になります。金融サービスなんてのは元々インフレ高金利の時代背景を元に「お金を預ける=銀行が勝手に運用した結果結構利子がつく」という構図の元、お金にまつわるサービスが比較的ユーザー負担のない形で提供されていた、という過去があるので昨今の「手数料上げるよ」「口座維持にも金かけるよ」ってのはユーザーからするとなんだよ俺たちの金使ってるのにって思うかもしれないけど、もはやサービスを提供するのもシステム負担なので、社会インフラである決済サービスを使わない(現金に頼る)ということを決断しない限りはそれなりの金額をサービスに支払わなければならない世の中になってきているんですよね。
とはいえ、決済サービスが経済圏を確立すれば、その圏内でコストは按分されていく結果として決済そのものの手数料は低減される(ように見える)かもしれませんね。