この人の預言、当たったところみたことないけど…
とはいえ、全く間違ったことを言っているわけでもないかなーと思う一方かなり雑な話をしているので少し噛み砕いてみる。行動特性を示す理由の方はそういうのが理由かもねレベルのことしか書いてなくて評価不能。
自分たちの「できること」でしか解決策を示そうとしない
まずもって、SIerは顧客の要望にいかにして応えるか、が仕事なわけです。顧客ありき。なので、「できないこと」をやることは顧客に対して裏切りなんだよね。やっぱりできませんでしたと言われて嬉しい顧客はいません。
ただ、SIerも物事の最初のタイミングでは「できる」と言い切れないものを使っていかないと新しいことなんて何もできないわけで、慎重に、かつ、お客さんをうまく巻き込んでやっていくこともよくあるし、とにかく自社で積み上げた枯れた技術を生かした活動をしていく会社だってある。だからこの項は「こうするSIerはダメだ」としては成立してないので、「ダメなSIerにありがちなこと」というあるあるネタでしかないんだよなあ。だから、こうしているから反省せよ、というのは会社の戦略の多様性(かつ、それで現実に成立している世界がある)ことの否定をしているんだけど、ニーズが有るならほっとけよとしか思えない。
機能や性能については説明できるが経営や事業の成果にどのような貢献ができるのか説明できない
え、だってそんなこと発注側がすでに考えて企画してますよね?という世界が広がっているのになんで説明いるわけ?という話。
コンサルタントを求めている(あるいは、懇意なベンダーに相談している)とかならわかる。経営に貢献「できる」なんて話を軽々しくするベンターなんて信用ならんわ。B to Bの取引は基本的にWin-Winであるべきなので、結果として経営には貢献すべきなんだけど、どこまで踏み込むかはどこまで求められているかに完全に依存するでしょ(だから、できないものはできない。できるものはできる)。
これからのテクノロジーやその可能性について分かりやすく説明できない
ブロックチェインについてわかりやすく説明してた人たちみんな撃沈してますね。
それはさておき、SIerは現実の問題を解決するのが仕事なので、将来のビジョンというのは現実の問題の延長線上で押さえておく必要はあるんですが、これからのテクノロジー=どうなるかわからないものでもあるので、過度に担ぎ上げるのも信頼性を損なう原因になるので、程々が必要ですね。そういった観点からは「わかりやすく」というのは諸刃の剣みたいなもので。ちなみに、僕なんかは責任を問われない場ではバンバン説明していますが、それは役割がそうだからであって、そうでない人がたくさんいるのもSIerというもの。
お客様が新しい方法論や見積を求めても旧来のやり方で提案しようとする
新しい見積もりってなんぞ?
それはさておき、お客さんが求めている方法論が「真にその目的にかなっている」のであれば、これを捻じ曲げるのはNG(とはいえ、最初の項と同じで、俺らがやるとしたらこれが最適です、というのを提示するのも会社としての誠実さの一つではあって、それで提案が通らないなら仕方がない、というのも会社のスタンスとしてはありですよ?)。だから、本当にダメなのはこの行動ではなく、「顧客にとっての最適を見極めてそれに合わせた提案ができない」ということ。予算感とスケジュール、将来性などでもっともバランスを取れるのは何か。お客さんが「安いって言うからクラウドが良いんだけどさー」というノリでクラウドの提案求めてきたら、それで営業が問答無用でクラウドで提案してくれって言ってきたらちょっとぶっ叩きたくなりません?
新しい方法論やテクノロジーの適用を求めると保証できない、実績がない、時期尚早などのネガティブ・ワードで翻意を迫る。
これも一緒で、僕としては翻意というか、覚悟を迫りますな。もちろん、一緒に沈むわけにはいかないので、十分な予算と十分な期間、それで上を説得できるかなど色々セットになります。そもそも、SIerが受け入れられないような新しさをなんとかしようとするなら自分たちでやるしかないと思うんですよね。で、ベンチャー企業の口車に乗せられて沈む、という船は結構見てきたけど。見てきましたけど。なんなら救助活動しましたけど。
SIerがチャレンジする、というのは当然お客さんを巻き込んでチャレンジするわけで、お客さんの思いがどれほどであったとしても、実績のない技術はやっぱり提案しづらいし、実績あってもすぐ陳腐化するエリアの技術の選定はかなり慎重になりますし、どれほど慎重にやっても結局iOSのバージョンアップがあああろくでもないことを思い出しdgふぁおgくぉqwだsfdsっzxh752sfdg
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失礼、再起動していたようです。
結論としては、新しいことへの取り組みって、それほどやってないわけじゃないんですよ。技術が陳腐化するスピードも早いけど、きちんと枯れるスピードも早いので、枯れたところをきっちりソリューションとしていくことが、顧客における「先進的な技術」になることだって特にSIerの顧客の場合は多いんですよ。だから、無理に「超最先端」をやらなくても十分ソリューションとして成り立つことも多いし、顧客の経営にって話だったら事業継続性のリスクなんかはかえってその方が良いケースもあるわけ。
なので、参照先に書かれている話は雑な煽りでしかないよね(じゃあなんのために存在する記事かと言うと…ポジショントークですよね)