novtanの日常

ネタです。ネタなんです。マジレスする人は撲滅すべき敵です。だからネタだってば!

いま一度、建前と本音について

サイバラの件なんかもそうなんだけどさ、アレはアレでもともと散々色々言われていたのに今になって急に育児系コンテンツが自重し始めたってすげーなって思うんだよね。やっぱり有名人のやらかしってのは反面教師として社会にとって必要だってことがよくわかるんだけど、古参ネット民からするともう散々「とある かぞくが のこした ブログ」で指摘されてたってしか言えんよな。インモラルなフィクションすら規制しろってうるさい奴らが居る昨今だけど、フィクションだからこそ、誰にも直接的な被害を与えずに社会に教訓を述べることができるってこともあるんだよ。
(人類にはホラーとSFは絶対必要だよな…とか、現実で提示すると批判される価値観や思考実験をファンタジーや並行世界でやるのって大事よね、とか思うんだけどねえ)

それにしても、やっぱりTwitterとかで「本音」を喋る人が多すぎる。その本音は実際には本音ではなくてネット向けにかなり糊塗されたもののクセに言ってる本人もそれが本音だって頑張って思いこんでいるような発言に見えて仕方がない。それが本音として有りたい自分、であろうことはわからんでもないけど、それでもやっぱり「それが本音である」という表現は非常に危うい。大抵の場合、現実の自分と合致していない。その本音はありとあらゆるものに適用されるべきものだけど、現実にはごく狭い適用範囲でしか実現していないことが大半だろう(なにしろ、現実で自分が相対できる関心事は時間と空間の制約のせいで理想には遠く及ばない)。だから、ちょっとでもそれに反する事実が漏れてしまうと「お前あんなに言っとるのにやっとらんじゃないか」みたいになるし、それを糊塗することは難しい。そんなことはみんなわかっているから「建前」だってしているんだよ。でも、建前で他人を攻撃することも辛い。だから、攻撃的な言動に傾けば傾くほど、それを「本音と思い込む」ことで自分を納得させるしかない。こんなの精神に悪すぎるよ。

何よりも、本音で語るってことは「内心を吐露する」ことにほかならない。内心は吐露しなくてよいし、吐露しないほうが社会は機能する。反社会的な要素が何ひとつもない聖人君子な人の内心であれば事故はないのかもしれないけど、人間誰しもある利己的な部分や根源的欲望について、ダダ漏れにはしたくないよね。だから、実際に内心なんて吐露してないんだけど、本音で語る風のせいでそれが自分の偽りない内心である、なんて言わないといけないし思わないといけない。
だから、僕は本音を垂れ流す、なんてことは仮にあったとしてもごく部分的なものとしてしかやらないし、自分が「社会的に正しい」と考えることを建前(それは当然だけど本音の一部を内包はしていることが大半だ)として話すよ。

完全クローズドだったり、完全匿名だったりすることで、本音をぶつけられる場ってのもなくはないよね。気をつけなきゃいけないのは、それを眺めている人が必ずしも「ちゃんと建前を重視して生きていて、社会に不和を持ち込もうとしているわけではない人々が、本音の部分ではそういうった思いを抱えているんだ。そのギャップはストレスだけど、社会のためにそれを表に出さないようにしているんだ」って思ってくれるわけじゃないってことよね。ともすれば「あんなに建前は立派なのに本音はクソじゃねーかこいつら」みたいに思うかもしれない。そうじゃないんだよ。人間が獣ではないのは、どんな根源的な欲求がNO/YESと言っても理性がYES/NOと言えば理性に勝たせることができるからなんだよ。建前通りに社会に関われるなら、本音がどのようなものであっても立派な社会人である。まあそれに反するクソ社会人事例が告発されまくっているから困るんだけど。

まあでもね、こういう考え方は「社会そのものがクソ」って思っている人にはかえって旧弊を守る悪に見える部分があるかもしれない。でもさ、かつて会社勤めなんてクソだと言い放って人気を博した人が今やってることが詐欺的な商売に行き着いたりするのを見ていると、本音でしか生きられないみたいなのって(それ自体がポーズだってことも含めて)非常に利己的な生き方だよね。社会に怒りを感じる人からすると建前は抑圧と同義なのかもしれないけど、じゃあその建前すっ飛ばして「本音」を叫んだとき、その本音は社会に対して平等ですか?大抵の場合、誰かをダイレクトに社会から脱落させようとしていませんか?建前は緩衝材だし、社会不適合を判断するのは法律、というのが今のところの人類の叡智なわけだが、それをショートカットするのって、本当に正しいんですか。革命を起こす勇気はありますか?革命後、公正でいられる自信はありますか?

そういうことをいま一度、ちゃんと考えたくなる今日このごろなのです。